ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

インタビュー「障害者から見た鎌倉観光とは-」

 

NPO法人湘南バリアフリーツアーセンター
榊原正博理事長に聞く

「障害者から見た鎌倉観光とは-」
 
 取材/2020年4月21日

榊原理事長

 (公社)鎌倉市観光協会は、2019年8月に観光庁の「バリアフリー旅行相談窓口に係る実証実験事業」に採択されました。観光で訪れた外国人障害者や高齢者などに対する案内対応の充実を図るものとして、全国で募集した結果、当協会を含む2団体が同事業の第1弾として選定されたものです。
 今回、バリアフリー事業の推進に当たって連携体制をとっている「NPO法人湘南バリアフリーツアーセンター」(鎌倉市雪ノ下)の榊原正博理事長に「障害者からみた鎌倉観光について」お話を聞きました。

「人の気持ちや優しさでバリアフリーは作れます」

(質問)
 昨年、当協会との連携で観光庁の実証事業に着手しました。事業の振り返りと今後の展開について展望をお聞かせください。

(理事長)
 バリアフリー観光窓口の接遇講習を通じ、日本と海外の障害の考え方や障害者のあり方の違いについてお話をさせていただきました。
 特に重要なポイントである、本人が選ぶこと、案内をする際にその選択肢を提供することという、障害者への対応で最も重要なポイントについて、実践レベルでのワークショップで学ぶことができたのは、非常に良かったのではないかと思います。
 海外の障害者は、何かをできない、どこかへ行けないのは、環境がそのようにさせているという考えを持っています。逆に言えば、その何かができて、その場所へ行けるのであれば、障害はないとも言えます。バリアは、段差にあるのではなく、障害を持つ人の気持により添えないことで生まれます。段差を無くさなくても、人の気持ちや優しさでバリアフリーは作れますので、このような接遇講習を行える機会を増やしていきたいです。

「バリアを楽しみながら観光ができる」

(質問)
 鎌倉は年間2000万人前後の観光客が訪れる観光地ですが、車いすユーザーや高齢者目線からしてどのような課題がありますか?
(理事長)

 鎌倉は車椅子ユーザーにとって、行けない観光地ワースト3に入ります。
​ あちこちにある急な坂道や観光客の人混みは、車いすユーザーや高齢者には、なかなかしんどい環境です。知らずに歩いていったり、目の前で行けないことがわかると、観光がとても楽しくないものになってしまいますが、先にハードな環境であることがわかっていれば、タクシーを使うなどの別の選択肢が選べます。また、あえてその環境にトライして、それを乗り越えたときは、むしろハードな環境を楽しむこともできたりします。
 その場所に行けるか行けないかではなく、こんな環境がありますよ、という情報が出せれば、バリアを楽しみながら観光ができるようになります。私達に相談をされるお客様には、最近鎌倉のバリアを楽しみに来る方たちもいらっしゃいます。

​「『大丈夫ですか?』ではなく『なにかお手伝いしましょうか?』と声掛けを」

(質問)
 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、バリアフリーツアーセンターとしてやりたいこと、また、市民ができることなどがありましたら教えてください。

(理事長)

 オリンピック・パラリンピックの時期には、多くの障害を持つ観光客が鎌倉へいらっしゃると思います。それまでに、より多くの鎌倉のスポット、お店などのアクセスに関する情報を集め、様々な障害を持つ方へ選択肢をたくさん提供できるようにしたいと思っています。
 新型コロナウイルスもそうですが、知識や経験の少なさは、怖さや不安に繋がります。障害者との関わりも同じです。逆に言えば、知識や接遇した経験が増えれば、心のバリアフリーはすぐにでも獲得できます。障害を持つ方は、街中で困っているときに声をかけてもらえるととても嬉しいものです。困っていそうな方を見かけたら、是非積極的に声をかけてください。その際、声のかけ方は「大丈夫ですか?」ではなく「なにかお手伝いしましょうか?」と声掛けをしてください。「大丈夫ですか?」と聞くと、日本人は大丈夫でなくても反射的に「大丈夫です。」と答えてしまいますので。ただし、困っていない人への声かけは鬱陶しく感じるので不要です。普通に楽しそうにしている障害者は、そのままほっといて良いです。

「ハードによるバリアフリーよりも、ハートによるバリアフリー」

(質問)
 湘南バリアフリーツアーセンターについてPRがあれば-
(理事長)
 
NPO法人湘南バリアフリーツアーセンターは、ハードによるバリアフリーよりも、ハートによるバリアフリーが、地域を最もバリアフリーにするという理念で活動しています。
 バリアフリービーチの活動を通じ、多くの方に障害者との関わり方を知って頂き、障害当事者の方には、今まで行けないと思いこんでいた、海水浴や海の家を楽しんでいただいています。
 障害を持つ方は、一人では行動せず、家族や友人などのグループで行動します。このグループへうまくアピールできる、誰でも今すぐにでもできるバリアフリーについて知りたい方は、当方までご連絡ください。お金をかけなくても、十分にバリアフリーにできる方法あります。

 
神奈川県パラスポーツビーチフェスタ(由比ヶ浜海岸) マリオカート
△神奈川県パラスポーツビーチフェスタ(由比ヶ浜海岸) △ハロウィンの仮装パレード(川崎)

 

NPO法人湘南バリアフリーツアーセンター

NPO法人湘南バリアフリーツアーセンターは、2016年にNPO法人として活動を開始。車いすユーザー向けに鎌倉の観光情報の提供、イベント運営などを手掛けるほか、バリアフリー調査、企業への講習会、バリアフリー改修のアドバイス、福祉用具のレンタルなど、幅広く活動しています。


住所/​〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下4−3−3−101
TEL /0467-67-5372
FAX / 0467-67-8296
​URL/http://bf-shonan.jp/<外部リンク> 

[[detail_ippan_movie_left]] [[detail_ippan_movie_center]] [[detail_ippan_movie_right]]